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文化村もテレビが映らないんです。 [気になる下落合]

 第一文化村のTV映りが、このところかなり悪くなっていたらしい。映像が二重になるゴーストと、画面がパラつく“砂嵐”が起きていたようだ。高層ビルが増えるにつれ、東京のあちこちでこの現象は起きてくる。現在の下落合側でも、ずいぶん以前からみられていた現象だ。特に、目白崖線の南斜面のお宅では、1970年代になると新宿西口に高層ビルが林立するにつれ、強烈なゴーストと“砂嵐”にみまわれた。高層ビルで乱れた電波が、目白崖線に反射してTV映りを悪くするのだろう。富士女子短期大学(現・東京富士大学)の時計台の上に集合アンテナを立て、“有線”にして解決したことは、前にもこちらでご紹介Click!した。
 第一文化村の映像障害は、新宿の高層ビル群が原因ではなく、山手通り沿いに林立しはじめた高層マンションによるものだ。さらに、山手通りに造られている地下高速道路の排気塔(地上45m)が建設されれば、障害は決定的となるだろう。いま、山手通り沿いには、排気塔の完成イメージイラストが掲示されているけれど、とんでもないコンクリートの化け物だ。目白文化村界隈だけの問題ではなく、排気塔から排出される無処理に近い排気ガスは、季節の偏西風にのって下落合全域に接地するだろう。最高裁まで争われたが、残念ながら住民側が敗訴した。もはや、「合法的」な排気塔建設をストップするすべがない。

 強烈なNOxやCOxの排ガス問題に比べたら、TV映りが悪いなんてテーマはたいしたことがないように思えるが、港区から延々引いたCATVのケーブルが、まだら状にしか存在しない新宿区(2005年現在)では深刻な問題だ。日々リアルタイムで情報を得られるメディアが、現在ではTVにラジオにネットだとすると、情報源の3分の1を失うことになる。新聞はもはやリアルタイムメディアとは呼べず、お年寄りの家庭ではネットが普及していないことを考え合わせると、満足にTVが見えないということは、主要なリアルタイム情報源を失うに等しいことになる。
 第一文化村では、ようやく港区のCATVを延長するか、高所に集合アンテナを設置して“有線”化する工事が進みはじめたようだ。普通は高層建築を建てるとき、日照や風害のアセスメントとともにTVの受信障害シミュレーションも実施する。おざなりでいい加減な業者もいれば、CATVの導入または集合アンテナからTVケーブルの設置まで、責任を持ってやってくれる業者もあるだろう。目白文化村の界隈は、当の排気塔を建てる道路公団が、あらかじめ電波障害を見越して“有線”化工事を進めているようだ。集合アンテナのケースだと、そのしくみが脆弱なのはアンテナに不具合が起きれば、地域のTVが全滅してしまうこと。APサーバがコケれば、同一セグメントのシンクライアントが全滅するのと同じだ。“有線”化とともに、自宅の屋根にあるTVアンテナは撤去してしまうのが普通だから、集合アンテナに事故があれば、今度はまったく映らないことになる。
 
 もうひとつの欠点は、集合アンテナから延々と引いてくるTVケーブルのどこかで障害が起きると、その障害箇所の特定に時間がかかり、すぐには復旧しないことだ。わたしの家でも、最長5時間という事故があった。たまたま休日だったので、ご近所じゅうが少し騒ぎになったほどだ。このときは、東電が電源ケーブル工事をしている最中に、誤ってTVケーブルを電柱から外してしまったことが原因だった。集合アンテナの故障を疑い、そうでないことが判明すると、次はTVケーブルの中継地点をしらみつぶしに確認しなければならない。広大なネットワークの、スイッチやルータの不具合探しよりも、よほど故障探しに手間がかかりやっかいなのだ。(デジタルケーブルの場合は特定が容易だろうか?) それでも、数時間で原因がわかればマシなほうなのだろう。
 こういう出来事を、ひとつのバロメーターとして考えるのはイヤだけれど、東京ではTV映りが悪くなると、住環境が比例して悪くなり震災時の危険が増す・・・という現象を、40年来繰り返してきた。それは別に、山手の住宅街に限らない。新宿区はいまや、CATVの地上受信局が設置できず港区からケーブルを引いてくるほどの、電波が乱れに乱れたエリアなのだそうだ。

■写真上:最近、山手通り沿いに林立しはじめた高層マンション群。右手に見える工事中の場所が、地下高速道路の排気塔建設予定の現場。地上45mは初代ゴジラと同じ、とんでもない高さだ。
■写真中:大型クレーン車が入り、建設が本格化しはじめた地下高速の排気塔。
■写真下は、松下春雄が描く『文化村入口』Click!でおなじみの、箱根土地本社西側の坂道。突き当りが府営住宅だったところだが、このあたりにも右手に高層マンションが建設された。は、箱根土地の本社社屋が建っていたエリア。いまは、消防署の裏にあたる。


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かい

山手通りの防音壁(?)マンション、だいぶ立ち並んできましたよね
しかし電波障害の対策をとらない業者がいるとは。唖然とします。
私が住んでいる小さいマンションでさえ二十数軒の近隣住戸に障害対策のケーブルが配線されています。
毎年細かいトラブルが発生して、修理費が馬鹿になりませんよ。
地上波テレビがデジタル化される2011年には不要になるようですが。
by かい (2006-08-02 11:42) 

ChinchikoPapa

わたしの近隣では、新宿西口の高層ビルによる電波障害は解消されているのでしょうが、新目白通り沿いに高層マンションが林立し始めたころから、ゴースト現象が再び出始めています。いまや相対的に低くなってしまった、東京富士大学の時計塔アンテナでは、きっとカバーしきれないんでしょうね。
一応、ケーブルのトラブルは、東電が誤ってケーブルを抜いてしまった事故以来、さいわい起きていないようなのですが、そろそろ地上波デジタル化をにらみつつ、新宿ケーブル(CATV)を引くのは時間の問題のように思います。
by ChinchikoPapa (2006-08-02 13:51) 

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