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また描いてもうた「八島さん」ちや。 [気になる下落合]

 

 今度から、佐伯祐三を「八島さん」フェチと呼んでやろう。以前の、「これでもか『八島さん』ちの前通り」Click!で、もうこれが最後かと思っていたのだけれど、またしても八島さんちを描いた『下落合風景』が出てきた。よっぽど、この建物のフォルムに惹きつけられたのか(そうは思えない)、あるいはパリ行きの資金稼ぎのためにアトリエから徒歩1分の手近なモチーフで、頒布画会用の作品をサッサと手早く量産して済ませたのか(こちらのほうがリアル)、それとも、佐伯の作品に対して少々口うるさくて煙ったい「米子はん」とは、まったく違う魅力の美しい八島さんの奥さんが住んでいたのか(妙にリアル/爆!)、そのいずれかだ。
 
 個人蔵で秘匿されているのか、あるいは戦災で焼けてモノクロ画像しか残っていないのかは不明だが、この家の棟装飾が載るトンガリ立て物付きの屋根も、鮮やかな赤色に違いない。「門」(9月28日)Click!に描かれたシンプルな門構えも、中央やや左にチラリと見え、その前の道路は、言わずと知れた「八島さんの前通り」Click!だ。
 佐伯は、1926年(大正15)現在まだ建物が建っていない、大谷石で敷地を区切られた第三文化村の空き地に入りこんでイーゼルをすえ、八島さんの家を描いている。電柱沿いには、その大谷石の縁石とみられる白い線が連なっている。手前にある、少し傾いだ電柱のかたちも独特で、「八島さんの前」と同日の「タテの画」(10月21日)でも、第三文化村へやや入りこんだ位置に、はっきりと確認することができる。
 
 いまさら、八島さんち界隈の描画ポイントについて詳細に書くこともないので、佐伯が『下落合風景』の中で描いた、八島邸のいろいろをコラージュ風にして掲載してみよう。
 
 
 
 では、またしても、つい描いてもうた「八島さん」ちを、描画ポイントClick!へ加えてみる。

■写真上は、佐伯祐三『下落合風景』(1926年・大正15)。は、現在の同所。イーゼルを立てた空き地には、もちろん家が建っているので同じポイントには立てない。写真の右側に建つ住宅敷地の、おそらく中央部あたりから眺めないと、この絵の画角は得られない。
■写真中上は別の『下落合風景』に描かれた八島邸の屋根。は本作品の屋根。(部分拡大)
■写真中下は1936年(昭和11)の八島さん上空。八島邸は建て替えられたのか、異なる形状をしている。また、描画ポイントの第三文化村敷地には、新たに家が建てられているのが見える。は「下落合事情明細図」(1926年・大正15)。
■写真下:『下落合風景』で描かれた八島邸のいろいろと、いま現在で判明している八島さん界隈の『下落合風景』描画ポイント。矢印に添えた数字は、描かれている作品点数。


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