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もう見るからに「下宿」なのだ。 [気になるエトセトラ]

 学生街を歩いて、細い路地を入って行くと、いまだにこういう建物が残っている。おそらく、1950年代に建てられたまま、大屋さんが少しずつ少しずつ修繕しながら、だましだまし大切に使ってきたのだろう。建築当時は、なぜか破風の屋根に白い洋風の窓枠を備えた、なんとなくこじゃれてハイカラな雰囲気が漂っていたのかもしれない。戦後の典型的な、和洋折衷アパートメントだ。
 もちろん、大通りからは遠く離れ、消防車も入れないような昭和の裏店(うらだな)なのだけれど、最近、このテの建物にわたしは弱い。ついジッと見とれていたら、「空室アリ」の表示を見つけてしまった。さっそく、すぐ近くにあった管理会社に連絡して中を見せてもらった。部屋を借りるにしちゃ、年齢が行きすぎているわたしを見て、一瞬、ためらいのような気配を感じたのだが、ゆっくりと室内を見せてくれた。(営業妨害すみません)
 わたしが想像していたのは、4畳半に板の間の小さなキッチンがついた昔ながらの間取りで、トイレは共同、近くに銭湯があるからお風呂はなし・・・といったイメージ。ところが、中身はぜんぜん違っていた。期待を裏切られたと言っちゃ大げさだけれど、外見と中身に大きなギャップがあったのだ。確かに畳敷きだったのは間違いないのだが・・・。

 6畳に少しかけるぐらいの畳敷きを除けば、ほとんどワンルームマンションのような造りになっていた。外観はそのままに、内部だけ大規模なリニューアルをしたのだろう。給湯器にエアコン、冷蔵庫、室内洗濯機置き場まで完備している。外見と中身は、大違いだったのだ。これなら、いまの若い子でも借り手があるだろう。女子学生だって、なんとか住めそうなのだ。ただし、壁まで分厚くはできなかっただろうから、どこかで麻雀やパーティをやったりすると響くだろうなぁ。
 こういうアパートは、なぜか夕暮れどきの黄色い光がとてもよく似合う。近くには朝夕食賄いつき、いわゆる「賄い下宿」も健在だった。

■写真:駅より徒歩5分、家賃¥58,000なり。


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