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18年間に読まれた記事ベスト20。 [気になる下落合]

下落合菜の花畑.jpg
 いまから10年ほど前に、拙サイトで読まれている人気の記事ベスト10Click!という企画をやったことがある。あれから10年、久しぶりにアクセス数の多い記事のベスト20を調べてみたのでご紹介したい。もっとも、古い記事ほどアクセス数の多いのはあたりまえなので、記事の掲載時期を「2004年~2011年」の8年間、「2012年~2018年」の7年間、そして最近の「2019年~2022年」の4年間(正確には3年5ヶ月間)と、掲載時期を3期間に区切ってアクセスの多い記事のランキングを調べてみた。
 おしなべて、落合地域にあまり関係のない記事への大量アクセスが目立つが、当然ながら落合地域に住んでもいなければ馴染みもない方は、新宿区の片隅で紡がれるローカルなテーマには興味が湧かないのだろうし、また落合地域を問わず人気のある「有名人」の記事やテーマへアクセスが集中するのは、サーチエンジンの上位にヒットする確率が高いせいで、これまた必然のことだろう。
 だが、落合地域とその周辺域には、史的に多種多様な職業(おもに芸術分野)の人々が住んでいた関係から、それら住民に関する記事へのアクセス数は驚くほど多い。2018年までの記事へのアクセス数は、ほぼすべてが万単位となっている。もちろん、中にはリピータの方もいるのだろうが、たとえば落合地域にかつて住んでいたある住民のことを、1万人の方が興味をもって読んでくださり、その人物が暮らした落合地域についてより深く知りたくなったり、「一度、落合地域を散歩でもしてみようか」などと思われた方がいるとすれば、わたしとしては記事にして“大成功”だったことになりたいへんうれしい。
 さて、まずは2004年から2011年までの8年間に掲載した記事について、アクセス上位のベスト20をご紹介したい。ちなみに、調べたのは今年(2022年)の3月26日現在だ。
★2004年~2011年ベスト20
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 写真画像がところどころ抜けて「NO IMAGE」となっているのは、管理画面で古い記事を検索すると、イメージDBから画像が引かれないまま対象記事を一覧表示してしまう遅延エラーからだ。また、記事の一覧表示がそろわないのは、ブログシステムの運用管理者側が年代によって表示フォーマットを微妙に変えてきているのが原因とみられる。
 以前のランキングと異なるのは、学習院に保存されていた陸軍弘前31連隊の八甲田山雪中行軍演習の記録写真Click!に関する記事が、下落合のドラマ『さよなら・今日は』Click!記事の上位にきたことだ。また、東京の古墳に興味のある方が多いのか、大手町にあった「柴崎古墳」Click!についての記事も急上昇している。同時に、中国や朝鮮半島からの思想や宗教が入りこむ以前の「原日本」Click!についての記事や、江戸東京の(城)下町Click!についてのエピソード記事へのアクセス数がベスト20以内に限らず目立っている。
 「あけがらす」Click!「ハゲ好き」Click!などの記事にもかかわらず、下落合の九条武子Click!に関する記事をご覧になる方は相変わらず多い。落合地域およびその周辺に住んでいた吉屋信子Click!をはじめ、柳原白蓮Click!近衛家Click!徳川家Click!に関する記事もよく読まれているようで人気が高い。変わったところでは、大磯Click!澤田美喜Click!について書いた記事と、文楽ファンが多い(?)ものかガブClick!の首(頭=かしら)についての記事が急上昇している。もっとも、文楽の記事は「愛しさ怖さガブのみ写真集」Click!というタイトルに騙され、ツンデレ系グラビアアイドルのしどけない姿の写真集と勘ちがいして、ついアクセスしてしまった方も多いのではないかとにらんでいる。w
 さらに、「タヌキの森」Click!に象徴される東京の緑の減少、あるいは景観など環境問題に関する記事への関心が高いのか、ベスト20以内に限らずアクセス数がかなり多い。
 では、つづいて2012年から2018年までの7年間の上位ベスト20を見てみよう。
★2012年~2018年ベスト20
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 この7年間で目立つのは、なんといっても落合地域にも住んだ淡谷のり子Click!記事の人気だ。これは、彼女がとても美しくて魅力的………というよりも、戦前戦中を通じ徹底して軍国主義による弾圧に抵抗しつづけ、特高Click!や憲兵隊による検束や始末書は数知れず、慰問先では陸軍の将校には危うく軍刀で斬り殺されそうになるなど、命がけで敵国のシャンソンやブルースを唄いつづけたエピソードに興味を抱かれる方が多いのだろう。
 ちょうど、現在の中国やロシア、ミャンマー、北朝鮮などのコンサートで、公然と「反戦」や「民主化」を唱えるのと同じような勇気を要するエピソードに惹かれて、アクセスする方が多いのではないだろうか。それとともに、戦時下における日本国内の世相や思想弾圧に関する記事へのアクセスも、ここに挙げたベスト20に限らず多い。
 下落合の寺斉橋の北詰めで、喫茶店「ワゴン」Click!を経営していた萩原稲子Click!(元・萩原朔太郎夫人)に関する記事の人気も驚くほど高い。変わったところでは、雑司ヶ谷村の新倉家Click!が有吉佐和子を訪ねて証言した、板橋宿で和宮Click!の代わりに入れ替わって将軍家へ嫁いだとみられる女性の記事や、どこかで生き残っていると信じたいニホンオオカミClick!に関する記事も上位にランクインしている。
 また、江戸東京の(城)下町に関する記事や、落合地域に住んだ人々の紹介記事は、この7年間でもコンスタントにアクセスされているようだが、ベスト20にランクインしているしていないに関わらず、関東大震災Click!など地震や災害に関する記事へのアクセスが目立つのは、2011年に東日本大震災を経験しているからだとみられる。
 では、最後に2019年から2022年の現在までアクセス数の多いベスト20だ。
★2019年~2022年ベスト20
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下落合森の道.JPG
 やはり、ニホンオオカミと大神・山犬信仰に関する記事へのアクセスが多い。関東では、秩父山系に生存している可能性が高いといわれるが、はたしてどうだろうか?
 最近の記事で目立つのは、小林多喜二Click!とその妻で下落合に住んだ伊藤ふじ子Click!に関する記事へのアクセスの多さだ。ちょうど、香港における思想弾圧や、ミャンマーでの軍事クーデターが起きた時期に重なって急増している。かつての日本でも、同様の苛烈な思想弾圧が行なわれていたことについて、決して他所事ではないと気づいた若い子たちのアクセスが増えているものだろうか。また、ここでも淡谷のり子の記事や、関東大震災におけるアナキストや労働組合員などの虐殺事件Click!も上位にランクインしている。
 先ごろ亡くなった瀬戸内晴美(寂聴)Click!の、目白台アパート時代についての記事も閲覧者が多い。淀橋浄水場Click!の記事へアクセスが多いのは、新宿区内にお住まいのビジターが多いからだろうか。ランクインしている2つの記事以外にも、淀橋浄水場Click!のエピソード記事はよく読まれている。また、おそらく豊島区の雑司ヶ谷周辺の方たちが、印象に強く残るハイゼの雑司ヶ谷異人館Click!の記事を参照されているとみられる。
 相変わらず、東京に展開する古墳の記事は人気が高いが、面白いのはドラマ『JIN―仁―』のファンが多いものか、「南方仁」のプロトタイプとなった日本初の西洋医である松本順Click!が創立した、早稲田の蘭疇医院Click!の記事へもアクセスが多い。変わったところでは、目白駅の近くに住んだ柳家小さんClick!生代子夫人Click!や、上落合の日本心霊科学協会にからめて書いた「貞子さん」Click!へのアクセスが目をひく。
 こうして、各年代のアクセスの多い記事を参照してみると、落合地域で暮らした画家などの美術家よりも、文学の作家に興味をもたれるビジターが多いようだ。作家の場合は、周辺の生活環境を文章で残しているケースが多くて調べやすいが、美術家の場合は佐伯祐三Click!中村彝Click!曾宮一念Click!金山平三Click!松本竣介Click!など大勢のファンがいる一部の画家を除き、その人物像や暮らしぶりを調べるのは相対的に容易ではない。したがって、どちらかといえば画家たちの調査に注力することになるわけだが、ここで書き手側の希望をいわせてもらえば、落合地域で暮らした美術分野の人々の記事が、もう少し上位に入ってきてくれるとうれしいのだが……。

◆写真上:この季節には鮮やかな、下落合に残る菜の花畑。
◆写真中上:下落合をあちこち散歩する、好奇心が旺盛なネコ。
◆写真中下:川床に下落合の一枚岩Click!と同じ、シルト層がのぞく神田川の桜並木。
◆写真下:暖かくなると散歩したくなる、下落合の森の小道。

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コメント 2

NO14Ruggerman

ランキングの掲載ありがとうございます。
改めて古い記事を読み返して愉しみたいと思います。
by NO14Ruggerman (2022-04-01 02:09) 

ChinchikoPapa

NO14Ruggermanさん、コメントをありがとうございます。
古い記事には、認識不足や調査不足が多々見られ、お恥ずかしい限りです。ご笑覧ください。
by ChinchikoPapa (2022-04-01 12:00) 

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