ひさしぶりに、「おさぼり」シリーズを書いてみたくなった。いつだったか、茶漬けClick!についてずいぶんうるさいことを書いてしまった。そのとき、蕎麦屋と双璧をなす江戸のファーストフード店である「茶漬見世」がいまでもあったら、わたしは通いつづけるだろう・・・と書いた。だから、「茶づら」いつづけることになってしまったのだ。(爆!)
 ぜんぜん古くはないが、都内某所にできたばかりの茶漬け店を見つけた。それからというもの、仕事で近くを通りかかって小腹でも減っていれば、すぐに立ち寄るクセがついてしまった。もたもたせずにアッという間にかっこんで、サッと仕事にもどれるのがなによりも嬉しい。この店、8種類の茶漬けが用意されていて、注文すると1~2分ほどで出てくる。だから、しじゅうバタバタしているわたしには、とってもありがたい店だ。
 でも、ひとつ不満がある。茶漬けと銘打ってはいても、正確には「だし茶漬け」であって、どれも煎茶をかけるのではない。あっさりとしたカツオだしを注いで食うのだけれど、できれば「茶漬け」と「だし茶漬け」とを分けて注文できるようにしてほしい。カツオだしは美味しいけれど、それでもしつこく感じることがある。そういうときは、食後感もさわやかで目もパッチリ醒める、タンニン分が少し多めの渋い煎茶をかけた茶漬けが食いたくなるのだ。中でも、「鯛茶漬け」や「鮭茶漬け」へ、なぜか二重にカツオだしを添えるのは、くどくてしつこくて野暮だからぜひやめてほしい。せっかくのあっさり風味が消え、それぞれ魚のうま味や香りが台無しになってしまうのだ。天ぷら茶漬けなら、だし汁でもいいのだけれど・・・。
 それでも、この茶漬け店に通いつづけるのは、やはりサラサラと食べられる茶漬けの食感が好きだからだろう。また、季節によって茶漬けの種類が変わるのも気になるところ。店では、木製で大きめのスプーンを出してくれるが、やはり茶漬けは箸でサラサラと涼しげにかっこまないとさまにならない。あの音がするから、たまらなく食欲をそそられるのだ。

 食券を買って入る、まるで食堂のような造りなのだけれど、圧倒的にOLらしい若い女性が多いのはどうしたことだろう? 茶漬けは蕎麦と同様にサッと食ってパッと出る、飾らない男の食いもんの印象がわたしは強いのだが、どうやら最近はぜんぜん違うイメージのようだ。おそらく、カロリーが低くてダイエットにはピッタリ・・・ということなのだろうか。
 一昨日も昼に、茶漬け屋へと足を向けてしまった。ハンバーガーや牛丼などは、数年に一度食うか食わないかのわたしだが、同じファーストフード店でも茶漬けというと話がまるっきり違う。毎日食べても飽きない食事、それが茶漬けだと思うのだ。これから陽射しが強まるにつれ、ますます茶漬けが美味しくなる季節を迎える。

■写真上:刺身を載せた「鯛茶漬け」。箸休めも付いて、茶漬けにしては900円とちょっと高め。
■写真下:茶漬け屋の近くにある社のひとつ。うっそうとした森が、いまでも残っている。