関西の知人から、法隆寺の近くで売っているという「救世ちゃん焼き」がとどいた。(ありがとうございました!<(__)>>端寄り団子さん) でも、こんなものが若草伽藍脇の屋台で売られているなんて、まったく想像だにしえない事態だ。
 若草伽藍といえば近年、発掘調査が行われ旧・法隆寺が焼失して、現在の建築は新たに建てられた新・法隆寺らしいことが確認されたけれど、わたしのイメージは発掘前の巨大な礎石がポツンとひとつ置かれた、あとは草原が拡がるばかりの殺風景な風景。それも、法隆寺に頼んでようやく入れてもらえた、四囲が崩れかけた土塀の特別なエリアという印象が強い。会津八一Click!ではないけれど、わたしは旧・法隆寺の布目瓦のカケラを、いくつか探して拾った憶えがある。
 それが、「夢殿名物」の「救世ちゃん焼き」!? 法隆寺は世界遺産に指定されて以来、またしても維持管理の財政不足で、今度は救世観音の石膏型Click!をとるわけにはいかないから、「救世ちゃん焼き」を発売して国宝の保存有効活用を展開中なのだろうか?(汗)
 
 さっそく、「救世ちゃん六面+仏足二つオマケだよ!」パッケージを開けると・・・これがビックリ! 会津八一が所蔵していた、救世観音の石膏型にそっくりなケーキがゾロゾロ出てきた。・・・ふーーむ、確かに「救世ちゃん」の面差しなのだ。パウンドケーキのように、弾力があってプヨプヨしている。しかも「救世ちゃん」だけじゃなくて、オマケの「救世ちゃんの足」まで出てきた。(^^; アルカイックな微笑をたたえた、なんとなく色の薄い人形焼きみたいな感じ。・・・そこで、会津先生じゃないけれど一首。
  救世ちゃんを 焼く香降るなり 法隆寺
           今日も明日も香りたなびく
 さっそく食べてみると、ほんのりとした甘さとともに、タマゴの香りがしてやわらかい。カステラとパウンドケーキの、中間のような食感と風味なのだ。ついでに足も食べると、こちらは薄いせいか少しかための食感。あなありがたや、あな嘆かわしやぞうろ、げに救世観音様を食べちゃった。
 
 「ヲヲッ、ここ、これは・・・? わ、わしにもくれんか!」
 「へい、らっしゃい。おいくつ?」
 「似てるの、全部じゃ」
 「ええと、これと、これと・・・」
 「ちがう! こっちのほうが似とる! いや、こっちじゃ、こっちもじゃ!」
 「はあ、これと、それと、こっちですねぃ・・・」
 「この足もじゃ!」
 「へい、ありがとうございやす。しめて、三千円」
 「たっ、高い! わしゃ会津だ、まからんか!?」
 ・・・と、会津先生がいたら、きっと「救世ちゃん焼き」の大ファンになっていただろう。それにしても、法隆寺の門前は、いつの間に浅草寺の仲見世化していたのだろう。(汗爆!)

■写真上:「夢殿名物/救世ちゃん焼き」のパッケージ。
■写真下:救世ちゃん焼きのいろいろ。型抜きや焼き方によって、救世観音の表情が微妙に違う。