今年も、下落合のそこここでクリスマスの飾りつけが行われている。見ていると、家々のイルミネーションは、年を追って華々しくなっていくようだ。あたりが暗くなってから、下落合のあちこちを歩きまわると、そのきらびやかな光にキリスト教徒でもないミーハーなわたしは、気持ちがウキウキしてくるのがわかる。年の瀬が近づくころ、東京の街中が酉の市と大掃除と餅つきだけの風情では、やっぱり面白くないのだ。そういえば、このところ東京のあちこちの街角で、昔ながらの餅つきをよく見かけるようになってきた。
 今年、下落合で輝くクリスマスイルミネーションの特色は、昨年まではおもにイエロー系やブルー系のモノトーンが多かった電飾が、色とりどりのデコレーションへと変わってきている点だろうか。その代表例が、聖母病院の巨大なクリスマスツリーだ。昨年までは、フィンデル本館横のヒマラヤスギへ黄色いランプを連ねた“雪吊り”状のイルミネーションが飾られていたけれど、今年からカラフルなものに変わった。単色のものに比べ、やはり多彩なカラーランプだと印象が俄然華やかだ。
 
 個人宅の電飾も、モノトーンの光から年々カラフルなものへと変わってきている。薬王院の門前に、今年もクリスマスツリーが出現しているが、昨年のブルーライトClick!の単色系ではなく鮮やかなイルミネーションに変化している。薬王院へ参詣したあと山門を出た人は、またしても「まあ、きれい。メリークリスマス!」と、つい言ってしまいそうだ。また、サンタクロースのデコレーションランプも目につくようになってきた。暖炉の煙突へよじ登るはしごサンタのランプとか(ちょっと泥棒のようにも見えるのだけれど)、玄関先で出迎えたりするまるで7人の小人のようなサンタとかが、あちこちで赤と白の光を放っている。
 
 これらのデコレーションは、電源をちゃんと屋外コンセントからとっている大規模なものもあれば、ソーラーシステムを利用した「エコクリスマス」仕様のものもある。この時期、イルミネーションをソーラー発電でまかなえるのは、晴天が多い太平洋沿岸の地域だからだろう。ホワイトクリスマスがあたりまえの地域には、きっと存在しないクリスマス製品にちがいない。
 
 いつもきれいなイルミネーションを飾りつけるお宅が、なぜか今年はいまだ飾っておらず、真っ暗なままなのを見かけたりすると、つい気になって何度か確認しに足を運んだりする。毎年、目白中学校Click!の跡地に隣接している舟橋聖一記念館の入口には、クリスマスになると美しいイルミネーションが光っていたはずなのだけれど、それが今年はなぜか見られない。目白聖公会の落ち着いたイルミネーションとともに、夜の下落合クリスマス散歩コースの“入口”のひとつであり、少なからず楽しみにしていたので残念だ。

■写真上:左は、恒例となった薬王院門前のツリー。右は、カラフルになった聖母病院のツリー。
■写真中上:左は、聖母病院のチャペルに飾られたツリー。右は、下落合公園近くの電飾。
■写真中下:左は、近衛町通りのきらびやかなツリー。右は、旧・林泉園界隈のイルミネーション。
■写真下:左は、諏訪谷近くのツリー。右は、目白聖公会の落ち着いたイルミネーション。