新宿区は、なにを考え、どこを向いているのだろうか? 屋敷森を保存するために、「下落合みどりトラスト基金」へ寄せられた寄付額が、おそらく日本でも最大規模の2億3,300万円に達し、署名数が5,000人を突破し、サイトへのビジターが10万を超えようとしていたとき、新宿区は業者との間で「着地点」を探すための「談合」を進めていたわけなんだね。
 「トラスト基金」事務局や周辺住民からの、再三再四にわたる問い合わせには、業者との交渉に「進展はない」「買い取り価格を下げてくれない」・・・と何度も回答していたその裏で、業者との協議を重ねながら「緑化計画」図面を作成し、森林を伐採したあと、かろうじて残されるわずか数本の樹木の選定を行い、大クスノキの移植にかかわる専門家との協議を求めるなど、集合住宅建設へ向けた準備を、業者とともに着々と進めていたわけなんだ。ちなみに、枝を伐り根を断たれた大クスノキは、枯死する可能性がきわめて高い。
 新宿区民には「進展がない」と言い、業者とは建設に向けた打ち合わせをどんどん「進展」させる。こういうのを、昔から“二枚舌”=ウソツキというのだよ。詳細は、昨年の秋から暮れにかけて、新宿区と業者が交わした文書の内容を見れば歴然だ。
http://www.jsc-com.net/shimoochiai/news2/221.htm
 きれいなお姉さんがカメラ目線で、「ウ・ソ・ツ・キ」と囁くのが流行っているそうだけれど、そういえば昔、スターリニズム下の旧ソ連に、ヴィソツキーという歌手がいた。(どういう繋がりなのだ?) 決してうまい歌詞とも思えないし、ダミ声の歌は聴きづらいけれど、ロシアへ出かけたとき真っ先に買ったアルバムがこの人の作品だった。旧ソ連の官僚テクノクラートたちによるウソや欺瞞を歌いつづけ、当局にタテをつきつづけた彼は、死ぬまで弾圧や嫌がらせを受けた。ここは、ウソツキの新宿区へ、ヴィソツキーの歌を進呈しよう。

  そこには縁無き言葉
  そこには不快な噂
  そこには不要な面接がある
  そこでは草の根も枯れ、燃え尽きた
  その跡さえ読みとれぬ
  暗闇のなかだ
        (『暗闇で』ウラジミール・ヴィソツキーより)
 新宿区が都外の建設業者ではなく、いまここに住んで生活している新宿区民のほうへ目を向けるのは、いったいいつのことやら。こんなことしてると、新宿区のお先は真っ暗闇だ。

■写真:雪の屋敷森。撮影は、プロ並みのカメラ技術をお持ちの武田様より。

追記/いつまでたっても、カレンダーが市松にならないぞ。(爆!)