誰かが帰ってくる5~10分ぐらい前になると、うちのネコはとたんに落ち着かなくなる。玄関のある方角へ向けて、ニャオニャオとうるさく鳴きつづける。家族の帰宅時間が一定なら、その習慣からなんとなくタイミングでわかるのだろうが、うちはみんなバラバラの時間に帰宅することが多い。それなのに、あたかもどこかのアンテナで察知しているかのように、なぜか帰宅直前にいきなりこのような状態になる。(写真上)
 不思議なことだと思いながら、そんな様子をいつも眺めているのだが、まるで盛りのついたネコのように、・・・いやネコなのだが、うるさくニャオニャオと喚きたてる。だんだんと家に近づいてくるのがわかるかのように、鳴き声は少しずつ高まっていく。そして、玄関の鍵がカチャッと音を立てると、まるで勝ち誇ったかのように、「どお、あたしの言ったとおりでしょ。帰ってきたわよねえ、ほら」・・・と、人の顔を得意げに見やるのだ。ちなみに、家族ではなく知らない人がやってくるときには、この反応はまったく起こらない。

 一度、上のオスガキが帰ってくる直前、やはりニャオニャオとわめいていたのだが、「ほら、帰ってきたでしょ、ネ?」・・・と満足げに振り向いたまではよかったが、そのあとにガールフレンドが「こんにちは!」とつづいて入ってくると、とたんに牙をむき出しにしてシャーーーッと威嚇した。「あんたなんか、待ってたんじゃないわよ!」と言っているかのようだった。それ以来、彼女はうちのネコが苦手になってしまったようだ。
 でも、このネコ、地震にはまったく鈍感なのだ。初期微動が始まってから、ようやく「ンニャ?」と眠そうな頭をもたげるだけ。どこまで信用していいのかわからない、いかにもネコらしい気まぐれ予知能力なのだ。

■写真:上「誰か帰ってくるのか?」・・・「おい、誰か帰ってくるのかよ?」・・・「ねえ、誰が帰って来るんだよう?」・・・「おいってば」、下「うるさいわニャ!」。