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ゼロトラストを推進するサブスク呪怨サービス。 [気になるエトセトラ]

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 いま、リモートワークが恒常化した企業のICT部門では、社内システムの運用管理や情報セキュリティの課題で日々、悪夢か地獄のような目に遭っているのではないだろうか。従来はデータセンターに預託したサーバ群や、プライベート/パブリックの別なくクラウド上に蓄積されたデータを管理し、社内のデバイス(端末)とVPNの経路さえサイバー攻撃から守れば、社内データはなんとか漏えい防止、あるいは盗難や破壊・改竄されずに済んでいた。
  
 ああ、それなのに、COVID-19禍がずっとつづいて自宅にある私物のPC端末や、いつ紛失したり盗まれるか知れたものではない、わけのわからない脆弱なタブレットやスマホなどを使いやがって、平気でID/Passを打ちこんでは社内システムにアクセスしてくる脳天気な社員や、作成したデータ類を会社のサーバと自宅のThinではなくFatクライアントの双方に平然と置いてデータ漏えいの危機意識も希薄だし、こっちが苦労しているバックアップや差分管理など毛ほども気にすることなく、お試し無料のMicrosoft 365が速くなってOneDriveも使いやすくなったね~などと、もう少しで「まさか、おまえら、データを社内じゃなくてどこに置いてんだよ! オバカー!!」と、つい叫びそうになってしまう。
 おまけに、お気軽な経営陣からは「キミ、もはやBYOD環境でわが社のシステムを守るのは不安だし、もう古いからね。これからの時代は、ゼロトラストでいこうよ、なあキミ」などと、わけのわからないことをいわれ、うちの部署のA.H.ボスなんか「予算も削られ人的リソースも不足してるのに、どうやって構築するの? なにがゼロトラスト時代なのよ!? なに考えてんの、あんたバッカじゃない!?」とキレるのかと思ったら、「そうなんです、これからはゼロトラスト環境ですわ。もう、システムのことをよくご存じの専務ですこと。さすがでちゅ~! ほほほ」と役員に迎合しやがって、「N君、いろいろ調べといてね」と、結局、シワ寄せはオレのところにまわってくるんだよね。
 オレは、「知らね~よ、勝手にいってれば!」と、あともう少しでキレそうになったけど、「そうですねえ、シリコンバレーあたりのサブスクで安くすむ、データマネジメントのクラウドサービスでも探してみましょうかねえ」なんて、ついつい答えてる自分自身がイヤになってしまう。ボスは次期の常務取締役執行役員&CIOの呼び声が高いから、ヘタに逆らわないほうが身のためだし、「この前のN君が作ったプレゼンのppt資料、とってもよかったわ、もう最高。ずっとサポートしてね」なんて、うるんだ目をしながらウットリ顔でいわれたりすると、彼女はオレに気があるんじゃないかななどと思ってしまうんだけど、うっかり不平をいったりするといきなり両手で壁ドンされて、「こざかし~んだよ! いちいち!!」と恫喝されるので怖いったらありゃしない。天国と地獄がクルクル入れ替わるのが、PMキャリアがバリバリなうちのボスの性格なんだ。
 もう、A.H.ボスのうっとり顔が見たいので、シリコンバレーのベンチャーをいろいろ調べてたら、「Ju-on」というクラウド型のデータ管理サービスを見つけた。なになに、「もし、サイバー攻撃でデータが破壊されても即座にリカバリーが可能で、サイバーレジリエンスとゼロトラスト環境の構築に貢献します」か、なるほど安くてよさそうなサービスだけれど、「Ju-on」って「呪怨」のこと? よし、もう少し詳しく調べてみよう。
  
 「Ju-on」は、短期間かつ低価格で導入できるクラウド型のサブスクリプションサービスで、契約してから数日で導入・運用がスタートできます。SaaS型のサービスだから、ハードウェア&ソフトウェアが不要でイニシャルコストがかからず、メンテナンスフリーなのはもちろん、いつでも機能や容量を増減できる高いスケーラビリティを備えています。重複排除と永久差分バックアップで、ネットワーク帯域とストレージ容量を削減して効率化。すべてのデータを二重暗号化で転送・保存し、国内国外を問わず社内システムの安全・安心をグローバルに確立できます。万が一、テレワークの普及などで携帯デバイスを紛失しても、すぐに位置確認や内部データの遠隔消去ができるので、情報漏えいを強力に防止できます。
  
 なんか、この「Ju-on」サービスはいい加減で不勉強な社員の多い、うちのような会社にはピッタリなサービスみたいだけど、そんなうまい話があるのかなあ。
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 クラウド上はもちろん、エンドポイントのPCやタブレット、スマホなど端末の種類やOSを問わずバックアップできちゃって、データを解読困難な二重暗号化で保存できるのか。データのリストアは、管理者とユーザを問わずどちらでも可能で、社員のセルフサービス化を促進してICT部門の管理業務負荷を低減……。なるほど、ますますうちの会社には向いてるし、オレの仕事もずいぶん減って少しはラクができそうだな。なんか不具合がちょっとでも出ると、いつも政治家みたいに情シスへぜ~んぶ責任をなすりつける無責任で不勉強な管理職が多いから、これからは自己責任でなんでも自力でやってもらおうじゃん。自分の部門端末の不始末ぐらい、自分でちゃんと責任とって面倒みろ!
 「ICT部門のスタッフは、本来の創造的な業務やPJに注力・専念できます」……そうそう、そ~なんだよ。24時間365日も機械的な仕事の繰り返しで、こんな定型管理業務はロボットにでもやらせとけばいいんだけどさ、この前、ネゴして申請したはずのRPA予算が丸ごと削られたのには、さすがにボスも大きくて睫毛の長いきれいなお目めをパチクリしながら、「じょうだんじゃないわ、わたしたちは運用管理マシンじゃなくてよ。役員会DXなんかより、業務現場のRPA自動化や効率化のほうが先でしょ! 経営陣は、いったい何時代を生きてるのかしら? ねえN君、そう思わない?」って、憤慨してたっけ。怒るととってもカワイイA.H.ボスだけど、それにつられてオレも「ほんと、そうっすよね~」って答えたら、あのウルウルした目でしばらくオレのことを見つめてたっけ。
 つうか、そんな妄想にひたってる場合じゃなく、「Ju-on」サービスについて、もっと調べなきゃ。なになに、「Ju-on」サービスのコアは「Saeki」で、「Kayako」と「Toshio」のふたつの機能から構成されています……って、これやっぱ「呪怨」じゃん! 佐伯一家の「Kayako」は、階段を血だらけで這ってくる伽椰子で、「Toshio」は真っ白なドウラン塗りまくりの小さな俊雄って子どものことだろ? なんだ、米国でも映画化されたって聞いたけど、このベンチャーの経営者は『呪怨』ヲタクじゃないかなぁ。
 あっ、なんとなく、「Ju-on」の仕組みがわかってきたぞ。データのセキュアな保全機能や、バックアップ/リストア機能を“呪い”というキーワードでくくったわけか。社内データが、ありとあらゆるところに分散して保存・蓄積されている、もう漏洩リスクだらけでわけがわからなくなりつつある社内環境を呪われた佐伯家だとすると、佐伯家を一度でも訪問したり、なんらかのかたちで接触したサーバやユーザ(デバイス)たちは、もう二度と伽椰子さんたちからは逃れられない、永久の呪いがかけられたってことなんだ。
 なるほど、クラウドやオンプレの基幹系サーバ群やDBMS、NAS、VMwareマシン、Hyper-Vのセキュアバックアップは伽椰子さんの担当で、エンドポイントのPCやタブレット、スマホなどのデバイス系PDAは、ボットみたいな俊雄君が出かけていって、リモートワーク社員の足もとで黒ニャンコといっしょに「ニャ~~オ!」とひと声鳴けば、「呪いがかかってるよ、忘れないでね」ってことになるわけだ。つうか、システムの運用管理用語に翻訳すれば、「Ju-onで保護されたから永久に安心だよ、お仕事がんばってね」ってことか。
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 それでも、おかしな「ふるまい」をするユーザには、血だらけの伽椰子さんが階段を下りユーザの頭か両足のどちらかを引っぱって、危ないデータの完全消去で本格的に呪う、いや安全・安心の十分なセキュア環境を確立するという仕組みなんだな。クラウドやオンプレ、デバイスの種類に関係なく、全社規模でハイブリッド運用できるのもいいし。
 なるほどなるほど、よくできたサービスだよね。なになに、差分ファイルのデータ量から異常データを検知し、ランサムウェアなどのマルウェアを発見してアラートを出す……だって。一般的なマルウェアの場合は、「黒い少女」サービスが動作して「中村ゆり風の九字切り」機能で対抗し、いま流行りのランサムウェアの場合は「白い老女」機能が出現して呪いをかけなおす、いやいや、暗号化したデータをリストアして事業や業務の即時継承性を担保しつつ、ついでにランサムウェアでロックされた機器や暗号化されたデータへ、「バスケットボール」をぶつけて無価値化する?……。「中村ゆり風九字切り」機能とか、白い老女の「バスケットボール」機能って、なんなんだよ? ……あっ、それは当社ならではの独自技術だって、要するに企業秘密のアルゴやテクってことね。
 もし、社内(佐伯家)に関わるタブレットやスマホを盗み出して、変態ムロツヨシのようにバッグに入れて逃走しようとしても、伽椰子さんと俊雄君が即座に連携して位置を特定しリモートで呪殺できる、いや、持ちだしたデバイスの所在とデータ内容を特定し、遠隔削除でデータを完全消滅させられる。だから、社内のガバナンス強化と、万が一訴訟沙汰になった際の証跡保全にも貢献する……。ふ~ん、こんな便利なことまでできちゃうんだ。
  
 紛失したり盗難にあったりしたPCやモバイルデバイスから、データのリモートワイプが可能です。常にデバイスの位置を追跡できるほか、もしJu-on通信ができないところ(たとえばWiFi-APのないローカルな神社・仏閣・教会)へ逃げこんだとしても、KayakoやToshioとの間で一定時間の接触がなければ、White Old WomanまたはBlack Girlが「は~い、いまいきますから~」と出張して、持ち出しデータの自動消滅あるいは強制消去が可能です。
  
 これ、うちの会社にピッタリなやつじゃん! 月々の利用料金が、ユーザひとり当たり9,800円で安いし、SSNS(貞子セキュアネットワークサービス)Click!との併用なら、さらに2,000円おトクな7,800円/月だって! それに、社員が1,000人超えならさらに1,000円引きって、なんかシリコンバレーなのにジャパネットタカタみたいだけど、わが社なら6,800円/人で導入できるってことじゃん。さっそく、ボスに報告しなきゃ!
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 あれから2ヶ月、調査報告を聞くボスのウルウルした感謝顔は見られたし、社内には「Ju-on」サービスが隅々まで適用されてるけれど、オレはいま、職探しをしている。「Ju-on」の社内設定がカットオーバーした1ヶ月前、「ねえ、業務に余裕ができたからって、このごろVIVID ARMYばかりやってるN君。キミの仕事は、もうここにはないから、明日から出社しなくていいわ。おつかれさま」と、役員会のパーティにでも出るのか、なぜかドルチェ&ガッバーナの黒いドレスを身にまとった(あまり似合ってなかったんだけどね)ボスの彼女にいわれ、血の気の引いた俊雄君顔で開いた口がふさがらなかった、オレ。
 「余暇を、創造的な本来業務やPJに注力・専念できます」なんて、ウソばっかじゃん! この会社も、ボスも、オレも、なにもかもが呪われてる。あっ、そっか、これがクラウド型呪怨サービスの本質的な目的であり、永久に連鎖・持続する究極的なワナだったのか……と気づいたけど、もうあとの祭りで遅い。いまでも、階段を下りてくる血だらけ伽椰子さんの夢を見るけど、その顔がときどき元ボスのA.H.顔に変わってるのが、もっと怖いんだ。

◆写真上:落合地域の西隣りで、『呪怨2』に登場した中野区江古田のハウススタジオ。
◆写真中上は、クラウド型呪怨データマネジメントサービスのシステム概念図。は、基幹系システムのデータを守る伽椰子さんのサービスキャラクター。は、リモートワークには不可欠なゼロトラスト環境を実現し、エンドポイントのデバイスにおける確実なデータ保護を推進するデスクトップ下でお馴染みな俊雄君のサービスキャラクター。
◆写真中下は、自宅でもどこでも伽椰子さんと俊雄君さえいれば24時間365日、心配事ゼロで安心&やすらかに眠れる環境が確立できる。は、たとえ変態社員が社内の機密データを持ちだしても、リモートワイプで完全消去し「なかったこと」にできる安全・安心イメージ。は、ランサムウェアの被害に遭っても無害化するバスケットボール機能を装備し、どこへでも追跡してくれて頼りになるDRボット「白い老女」のキャラクター。
◆写真下:より詳しく呪怨サービスが知りたい方には、日本と米国でわかりやすいDVD教材が発売されている。は、日本版の『呪怨』と『呪怨2』(2003年)。は米国版で『The Grudge』(2004年)と『呪怨パンデミック』(2006年)。特に『呪怨パンデミック』は今日のCOVID-19禍を予測したような内容で、社内研修用のEラーニングには最適だ。

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